【鶴岡kibisoブランド認知向上プロジェクト】いよいよ始動!!

なかなかブログ日記を更新できない会長こと
吉田正高です。

どうしても皆さまに告知したいことが
ございまして、ひさびさの
「会長のコンテンツ日記」
更新と相成りました!

昨年度から準備を進めてまいりました
鶴岡市を舞台に、地域振興を目指す
「鶴岡kibisoブランド認知向上プロジェクト」
がいよいよ始まります!!

私は大学側の責任者として参加させて
いただいております。

kibiso(キビソ)とは、蚕が繭を作る時、はじめにだす
糸のことです。鶴岡では明治維新以降、絹織物の
生産が地域を挙げて行われてきましたが、
その副産物として生まれたのが「キビソ」です。

かつては廃棄されていたキビソですが
現在では鶴岡織物工業協同組の皆さまの
御尽力により、希少価値の高い商品として
活用されるまでになってまいりました。

なおキビソの詳細につきましては、
下記のHPをご参照ください。
http://kibiso.jp/muscat2/

本プロジェクトでは、そのような
キビソの魅力を、より多くの方々に
認識していただけるよう、お手伝いを
してまいります。

本プロジェクトでは、

①.地域振興を目的とした映像コンテンツの制作

②.①を用いた地場産業奨励および地域活性化

③.①および②の成果を大学での教育に反映しカリキュラム化

④.③のカリキュラムを通じて、それぞれの地域で
  自主的に活動するコンテンツクリエイターや
  地域プロデューサーを育成する

という展開を目指しております。

現在①の映像コンテンツの完成に向けて、
様々なクリエイターの方々が制作に
携わっております。

■平林勇さん
http://www.hirabayashiisamu.com/

■岩井天志さん

■パンタグラフさん
http://www.pangra.net/

また、コンテンツ制作全体のプロデュースは
東大で仕事していた時代からいろいろ
お世話になっております高山晃さんが率いる
㈱ファンワークスさんが担当してくれております。
http://www.fanworks.co.jp/

上記のような素晴らしいクリエイター、
プロデューサーの皆さんのご協力を
得られまして、もう映像コンテンツに関しては
なにも心配してないという(笑)
素晴らしい状況になっております!!

で、私の役割は、これらの作業過程を
通じて得られる知見を、大学内で
いかに位置づけ、カリキュラム化するのかを
検証することになります。
上記の数字で言えば③と④の部分ですね。

ということで、後期に東北芸術工科大学で
担当する講義の一部を、本プロジェクトに
関連した公開講座として開放していこうと
考えております!
(詳細はまた後日!!)

これまで私が携わってきた研究やプロジェクトとは
大きく異なって見えるかもしれませんが、
「コンテンツの活用」や「研究成果の社会への還元」という
自分自身の大きな目標に対して、
大きな前進となると考えておりますので、
ご協力、ご支援、よろしくお願いいたします!

また、特に若い学生さんで、このような
プロジェクトに興味がある方がいましたら、
吉田までご連絡ください!!

※なお、本件は、経済産業省の
「平成22年度産業技術人材育成支援事業
(地域映像クリエーター等人材育成事業)」
の助成を受けたプロジェクトです。

棚からひとつかみ

前回のブログ更新は8月ですから1ヶ月以上を経ての更新。最近は委員会でも「ブログをもっと更新しましょう」という言葉が機械的に出てくることすらなくなりましたね。皆さん、覚えていますか。会長が「会長のコンテンツ日記」というタグでこのブログを更新していたことを・・・。

さて、そうこうしているうちに季節はめぐって猛暑から一気に秋へとかわりました。その間に色々とコンテンツ関係の著書などが出版され、こちらの業界も盛んになってきたなという感慨があります。少し目に付いたものを書いてみましょう。決して委員会のたびに「最近、何か出てましたよね。書評どうします?」「何かありましたよね」「あー、最近出たあれ。あれですよ」みたいな言葉が交わされるから、その対策とかそういうことはないです。ありません。

デジタルゲームの教科書 知っておくべきゲーム業界最新トレンド

一つ大きな進展であったと考えられるのはこの『デジタルゲームの教科書』(デジタルゲームの教科書制作委員会著、ソフトバンククリエイティブ)でしょう。これまで日本シミュレーション&ゲーミング学会(http://www.jasag.org/)、ゲーム学会(http://www.gameamusementsociety.org/)、日本デジタルゲーム学会(http://www.digrajapan.org/)とそれぞれの学会活動の中で盛り上がってきたゲーム学ですが、そのハンドブック的なものがついに発刊となりました。海外では『Handbook of Computer Game Studies』(http://mitpress.mit.edu/catalog/item/default.asp?ttype=2&tid=10331&mode=toc)が2005年に発刊され、一つの到達点として数え上げられますが、本書もその流れの中に位置づけられるかもしれません。何よりゲーム学としての指針のみならず、ゲーム教育にも大きな影響を与えることになるでしょう。

なおこちらのページにて本書の紹介、参考文献リストや定期的に開催されているustの案内が見られます。

ライトノベルよ、どこへいく―一九八〇年代からゼロ年代まで

続けて山中智省さんの『ライトノベルよ、どこへいく―一九八〇年代からゼロ年代まで』(青弓社)。昨年開催されました本学会第2回例会で発表していただきました山中さんの著作になります。ライトノベルとは何かという問題に真摯に立ち向かい、解き明かしていった山中さんの修士論文を書籍化したものになる・・・のですよね?個人的には80年代以前の前史(と捉えるのかどうか)といったところから語っていただきたかったのですが、それは個人的な興味関心です。

闇のファンタジー (ナイトメア叢書)

そしてその第2回例会つながりで『闇のファンタジー』(青弓社)。一連のナイトメア叢書の1冊になります。といいますか青弓社が続きますね。こちらには昨年の第2回例会でご発表いただきました井上乃武さんの「「語り」の問題性とその向こう側にあるもの――天沢退二郎における二元論の問題」、大島丈志さんの「呪術的世界に生きた「毒もみのすきな署長さん」に関する考察――毒もみを中心とした宮沢賢治作品における罪のあり方をめぐって」という2本の論文が収録されております。個人的に秀逸だったのは表智之さんの「闇はすぐそこにある――諸星大二郎をめぐって」。鳥山石燕らの活動を「妖怪革命」とする香川雅信氏の研究を踏まえて、諸星作品を「妖怪反革命」と位置付けています。実証等の必要性はあるにせよ、かなり興味深い指摘だと思います。そのほか、コンテンツに直接関係してくるものでは、小松史生子「『キノの旅』と『ブギーポップは笑わない』」、大橋崇行「グロテスクな魔女の幻想――『うみねこのなく頃に』」なども収録されております。

また、現在編集中の本学会学会誌4号では前述の山中さん、井上さん、大島さんに論考を依頼し、特集を組むことになっております。ぜひお待ちください。ラノベ好きは必読です。

コミケット78、お疲れ様でした。

少し時間があきましたが、コミックマーケット78に「コンテンツ文化史学会」として参加してまいりました。3日目の暑い中、足をお運びいただきました皆様には御礼申し上げます。おかげさまで持ちこみました55冊が完売となり、委員の皆驚きとともに喜びにあふれております。

まだまだ暑い日が続きますが、残りの夏を有意義にお過ごしください(と自分にも戒めます)。8月末締め切りで本学会の大会発表申込があります。ご興味のある方はご検討ください。

例会終了

26日(土)に開催されましたコンテンツ文化史学会2010年第1回例会「趣味文化研究の作法」は無事終了いたしました。会場に足をお運びいただきました皆様、発表者の皆様、ありがとうございました。当日は61名もの多くの人にご参加いただきまして、非常に活気あふれる会になりました。

司会の七邊さんからの「本学会の投稿論文の採択率の低さ(50%)」→その採択されない論文の多くの傾向として「私語り・印象論、データなき誇大理論、分析枠組(に対する反省)なきデータ分析」という点が指摘され、またコンテンツ分野の先行研究としても「歴史学、社会学、経済学、観光学、文学、メディア研究、マンガ学、ゲーム学 etc.」数多くの研究分野が挙げられるのに参照していない点が指摘されておりました。そして当日の目的として「1:作り出された作品・知識(opus operatum)、2:作品・知識を作り出すやり方・作法(modus operandi) 研究のハビトゥス」の2点の共有、さらに具体的には「問いの立て方、研究対象の構成の仕方、回答者、インフォーマントの探し方、先行研究の集め方、分析枠組・理論、データの整理法(カード、ソフトウェアなど)」といった点を考えようと提案され、3人の発表が行われました。

当日の様子は以下、twitterのつぶやきからご覧ください。

http://togetter.com/li/32075

また発表者のお一人である小山友介さんの当日の発表資料がウェブに挙げられておりますので、ご覧ください。

http://pub.idisk-just.com/fview/zg-uKV6EGRju3YoKbKWvR21_RILMzudDkf1aiZLpki8NwVw6YjGVI72tQyWLDuFvc7USJz8QOurZStPnVKvE9Q/44Kz44Oz44OG44Oz44OE5paH5YyW5Y-y5a2m5Lya77y_5bCP5bGx.pdf

しかし、当日来られた方の中には、また古典的な研究分野(と書くと語弊があるかもしれませんが)に従事している方には「コンテンツ学というものは、このようなレベルの話をしないといけないのか!」と驚かれるかと思いますが、本当にこのような話をしないといけないのが現状です。この会を開いたことによって、今後のコンテンツ研究が大きく進展することを切に願っております。いや、本当に!

明日になりました!

ついに明日になりましたコンテンツ文化史学会2010年第1回例会「趣味文化研究の作法」。委員ともども皆様のご参加をお待ちしております。また発表者の皆様、明日はよろしくお願いします。そしてまだ参加すべきかどうか迷っている方はぜひご参加ください。卒論や修論、そして今後の研究でサブカルチャーやコンテンツ、ファンやファンダムといったものを対象に研究を行おうと考えている人はぜひご参加ください。そうでない方ももちろんお待ちしております。

明日の例会の詳細な情報(参加登録フォーム・時間・場所など)は下記のページからご確認ください。

http://www.contentshistory.org/2010/05/17/730/

さて、参加される前に読んでおくと理解が深まるサイトがございます。

http://it.nikkei.co.jp/digital/news/index.aspx?n=MMITew000024072009

明日発表していただく小山友介さんの以前の発表に関するレポートです。ゲームジャーナリストである新清士さんによる記事で、非常に分かりやすくまとめられております。コミックマーケットで実際にどれだけの人が創作を経験しているのかが可視化され、これまで「色々な人が参加してきた」とか「漫画家の○○さんはあそこで売ってた」等々の印象論で語られることの多いコミケットがリアルに浮かび上がってきます。そのほかのデータもございますので、明日はこれらを踏まえたお話をしていただけることと思います。なお、小山さんのKDDI総研R&A誌での文章は下記から読めます(PDF)。

http://www.kddi-ri.jp/pdf/KDDI-RA-200904-02-PRT.pdf

また、玉川さんは以前、「コミックマーケットにおける同人作家の商業誌経験」という論考を『マンガ研究』9号(2006年)に発表されております。こちらもC66での調査によって、「同人」と「商業」という意識や商業誌へ作品をどれだけ掲載したか等々がデータから語られており、明日はさらに深いお話が聞けると思います。

例会に向けて

すっかり月報のようになってしまいましたブログです。皆様。お元気ですか。とりあえず関東地方は梅雨入りをしております。

さて、ついに来週に迫ってまいりました。6月26日(土)にコンテンツ文化史学会2010年第1回例会「趣味文化研究の作法」が開かれます。会員の皆様も、非会員の皆様もぜひともご参加ください。オタクや鉄道マニアを研究することに興味はあるのだが、学術的な場所に参加して良いのかどうか迷っている方もぜひご参加ください。お待ちしております。

http://www.contentshistory.org/2010/05/17/730/

なお、昨年の例会および大会とは場所が違いますのでご注意ください。JR田町駅を出たところですよ!

さて、例会ですが、昨年の2回は私がある程度関わって企画していきましたが、今回は司会をつとめます七邊さんが企画をしたものになります。従いまして、私はどのような会になるかを妄想するしかないわけです。

とはいえ、「趣味文化研究の作法」の趣旨文に書かれておりますように、「「私語り」や「主観的印象論」、あるいはデータなき「誇大理論」に陥らずに、いかに調査・研究していくかを考えること」に尽きるかと思います。これを踏まえると2つの点が重要であると想定されるでしょう。

  1. 趣味文化を享受する自分自身と、それを対象とし研究する自分自身の距離感
  2. 趣味文化を研究するにあたってのデータ(質的・量的)の取り方、および研究の方法

という2点でしょうか。前者はより精神的な話ですが、現在進行形で変容していく趣味文化自体を研究するにおいて、私たち研究者自身もまた同時代に存在することはどうしても必至になります。当然ですね。ただその場合、よくも悪くも雑音のように入り混じってしまうのが、同時代的存在であるがゆえに趣味文化を味わっている研究者自身の感情や主観でしょう。これが入ってしまうと途端に研究論文足りえません。自分自身も観察対象や観察事象に包括されうる存在であることを常に認識しながら、そこからの距離感を絶妙に保ち、研究を行う。この点は社会学や民俗学、文化人類学などで行われる参与観察もまた重要な点になってくるでしょう。

後者はより実態的な話になってきます。印象論的なものを排除していった場合、どのようなデータを取り、それをどうやって研究へと生かしていくのか。趣味集団にどうやってアンケートやインタビューをお願いするのかといった細かい点も重要になるかと思います。特に既に先行して存在するオーラルヒストリーやその他、聞き取り調査研究とどう比較しつつ、コンテンツ学に生かしていくのか。大きな課題でしょう。

という話になるかもしれませんし、違うかもしれません。

論文をよむその8:GUNSLINGER GIRL

ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか。ってもう終わりかけです・・・。学会のほうは学会誌の編集が遅れており会員の皆様にはご迷惑をおかけしておりますが、順調に進めております。今度の例会には間に合いますので、もう少しお待ちください。

さて、せっかくの連休なのでアニソン三昧を聞きながら、何か書きましょうか。といっても、ほとんど漫画を読んだりして過ごしていましたが・・・その中で面白かったのは『GUNSLINGER GIRL』12巻です。新刊が発売されました。過去編がほとんどを占める12巻です。

GUNSLINGER GIRL 12 (電撃コミックス)
相田 裕
アスキー・メディアワークス (2010-04-27)

このガンスリを取り上げた論文としては最近だと足立加勇「サイボーグ漫画のアニメ化に見る漫画作品の受容と消費」(『学習院大学人文科学論集』18号、2009年)が挙げられます。この論文は『サイボーグ009』とガンスリを比較し、60年代と80年代の009では描かれる主題が平和から仲間との絆になっていること、そしてその後のいわゆる「第三次アニメブーム」では再生産され続ける絆の物語を踏まえ、ガンスリをみるとアニメ愛好者たちが希求する絆というものがアニメ化に伴って浮上してくる。といった内容でしょうか。

とりあえず面食らったのは009から一気にガンスリに飛べるのでしょうか?いや、間に銃夢やマップス、そして攻殻機動隊や最終兵器彼女といった作品群があるわけで、比較研究の難しさがどうしても気になってしまいます。まあ、気になるのはオタクの悪いところかもしれませんけど!あとガンスリのゲームでは検討されている点はどうなっていたのでしょうか・・・やったことがないのですが。

しかし、相田裕作品が絆をテーマにしているかどうかというのは重要な点で、ガンスリ10巻に付録であったイタリア紹介冊子では義体の女の子たちが現代のイタリアにいたら、このような格好といったイラストがあり、物語におけるサイボーグという枠組みを取り払っているのが面白いです。あと同人誌で連作として発表されている「バーサス・アンダースロー」シリーズはまさしく直球の青春物語。これは素晴らしい。昨日のコミティア92でも新作を買ってしまいました。私は生徒会長のキャラが好きです。つまりはガンスリではその絆というものをサイボーグという義体や条件付けという設定によって、沈潜化したと捉えることも可能かもしれませんね。

そんな感じです。アニソン三昧ではガンスリの主題歌は流れますか。

GUNSLINGER GIRL Singles

会長のコンテンツ日記 その13

なんと昨年の9月24日以来のブログ更新です。
ご無沙汰しております。本学会で会長を
つとめさせていただいております
吉田です。

今年度も勤務先の東北芸術工科大学にて
「コンテンツ作品分析」と銘打った鑑賞会を
毎週月曜日に実施いたします。

昨日は今年度の第1回として、

■『ルパン三世』
第145話「死の翼アルバトロス」(1980)
第155話「さらば愛しきルパンよ」(1980)

■『スーパーマン』 (1941)
The Mechanical Monsters

を連続して鑑賞しました。

やはり宮崎駿さんの過去作品に関する
知識と、それを自身の作品に昇華させる
技術は、コンテンツクリエイターの鏡である!
ということを実感しました。

なお、今年度は担当している正規授業
「アニメ・プロデュース論」でも
作品上映を考えておりますので、
そちらもいずれブログでいろいろ
書かせていただきます。

遅ればせながら、今年度も
コンテンツ文化史学会を
よろしくお願いいたします!

※なお、学生に配布したチラシのイラストは学会誌の
表紙やHPでもおなじみの、こさささこさんに
お願いしてます!

TAF2010シンポ、無事終了いたしました。

3月25日に東京国際アニメフェアにて開催されたコンテンツ文化史学会主催シンポジウム「変容するコンテンツ文化とクリエイター -進化するアニメ、ゲーム、ノベルの可能性-」は無事終了いたしました。当日、足をお運びいただきました方、何よりご登壇いただきました飯田和敏さん、本田透さん、今井哲也さんにこの場を借りて御礼申し上げます。

当日の様子は下記のtogetterにまとめられております。
http://togetter.com/li/11027

時間が足りずに消化不良だった部分もありますので、ぜひどこかで続きを行いたいですね!というわけでご登壇者の作品を並べてみますが、飯田さんのディシプリンはWiiウェア配信なのでamazonにはありません・・・。

小説 げんしけん 拝入蘭人の野望~Return of the OTAKU~ (KCノベルス)

巨人のドシン

ライトノベルの楽しい書き方 (GA文庫)

ハックス!(1) (アフタヌーンKC)

<追記>

日刊サイゾー様に取り上げていただきました。ありがとうございます。

http://www.cyzo.com/2010/03/post_4179.html

論文を読むその7:消費される「歴史」

ご無沙汰すぎて申し訳ありません。と言いますか、新年1回目の運営委員会で「もっとブログを更新しましょう」という話も出ましたよね。それに対して私や会長は「がんばる」とか前向きな発言をしていましたよね。しかも「週に1回は更新しましょう」とか言ったのはどの口ですか。

というわけで1週間どころか1ヶ月に1回の更新になりそうですが、ブログはともかく学会のほうは滞りなく動いております。会誌3号および第3回例会に向けて、既に諸々の作業に入っておりますので、皆様ご期待ください。

久々のブログがこれだけだと物悲しいので、最近読んだ論文の話でも。

  • 高岡文章「近代と/へのノスタルジー 近代化遺産と昭和ブーム」(『福岡女学院大学紀要 人文学部編』17号、2007年)[http://ci.nii.ac.jp/naid/110006606303]

PDFで公開されているので読めます。近代化という中で成田龍一さんなどが研究されている「故郷」の話などと絡めつつ、「近代化遺産」や「昭和」といったものに「ノスタルジー」が付与されるというのが大まかな内容なわけですが、一番興味深かったのが、最後のほうに書かれている次の一文です。

「現代社会において、もはや「歴史」は商品である」

これは多分、誰もが感じつつも言語化はされていなかったことかと思います。至言ですね。さらに個人的な感想を述べると、ノスタルジーが付与される「歴史」と付与されないで消費される「歴史」の2つに分けられるような気がします。前者が「三丁目の夕日」ならば、後者は「戦国BASARA」でしょうか。

しかし、このノスタルジーというか遡及可能な意識というものを別角度から追った論文が高岡弘幸「幽霊の変容・都市の変貌–民俗学的近・現代研究に向けての試論」(『国立歴史民俗博物館研究報告』132号、2006年)ですね。「幽霊」という切り口で、認識の変容を追うという・・・。高知でのフィールドワークによる成果で、非常に興味深い論文です。

とここまで書いてきて、日本史側は消費される「歴史」というものをどう捉えているのかを考えたかったのですが・・・どなたか論文を書かれていますか?私が知らないだけということもありえますが・・・。コンテンツ文化史でやれと・・・?