この時期、歴史学を専攻している研究者は妙にそわそわしています。もしお近くに歴史学者がいるならば、そばに寄って、そっと耳打ちしてみましょう。
「回顧と展望」
と。
すると嬉々として語り始める人もいれば、斜に構えて語る人もいると思います。それはもう巨人ファンもアンチ巨人ファンも皆、巨人ファンだろうという勢いです。しかし、歴史学以外の学問では全くもって知られていないので説明いたしますと、要は史学会が発行している会誌『史学雑誌』の毎年5月号は前年の「回顧と展望」として、日本史から西洋史・東洋史に至るまで様々な分野で発表された論文を取り上げた短評が掲載されているのです。
この毎年行われる特集号は、賛否両論あるでしょうが、一つにはマニアックな論文誌に掲載された論文までも拾い上げていることもあるので非常に助かります。そしてもう一つには研究者としては取り上げられたら嬉しい。ということでもあります。
しかし、「○○の分野は○○先生が担当だから△△先生の論文は取り上げられていない」としたり顔で語る先輩に遭遇できるのも、この時期の特徴でしょう。大学院にはなぜあのような人が登場するのか不思議でなりませんが・・・。
いや、それはそれとして私も昨年発表した論文のうち2本を取り上げていただきました。探してみてください。ウォーリーより探しにくいです。