大会へ向けて3:『ハックス』3巻が出ました。

「でも、これ投稿されているの観てみると・・・けっこう動きがカクカクしてるのも多いんですよね。でも、そういうのでも意外と観てて楽しいんですよ。誰かが一所懸命描いたものって。で、じゃあ、自分も本格的じゃなくても、そういうところから始めてみたらどうかなと思ったんですけど」
(今井哲也『ハックス』3巻、講談社、2009年、19ページ)

皆さん、世間はこれからラピュタを見て、ムスカ大佐をにやにやしながら眺めるのでしょう。こんにちは。いや、こんばんは。

さてアマチュア文化というテーマで大会を開きますが、アマチュア文化といっても非常に広い。思いつくものを挙げるだけでも、コミケットなどの即売会・とらのあななどの専門店で売っている同人誌や同人ゲーム、ニコニコ動画やYOUTUBEにあげられるMADや自主制作アニメだってアマチュア文化です。

それが商業ベースに乗るか乗らないかはまた次の話になります。もちろん、旧来からアマチュア文化が存在している文学や、メジャーデビューへのキャリアパスが存在する音楽(樺島榮一郎さんの論文に書いてありました!)、映画もまた多くのアマチュア文化が存在します。

では、ニコ動なんかと白樺派などの活動をどう捉えるのか?最近のウェブ空間の事象と昔の同人活動は直線的に捉えることができるのか?ジャンルが違うとどうなるのか?例えば、昔の大学や高校の漫画研究会やアニメ研究会と『ハックス』などで見られるようにニコ動(作中では二○動)というすぐに発表できる場のある現在では違うのか、本質は変わらないのか?そういった点を今度の大会「アマチュア文化とコンテンツの未来」で考えることができれば良いなと思います。もちろん、それ以外にも色々な論点が出てくるでしょう。

ですので、まず起床したらニコ動を観て、pixivのランキングを眺め、マサオさんの絵に10点をつけるといった生活を送っている方にも、ぜひ来ていただきたいです。

そのようなわけでバルス待機中の皆さん、よろしくお願いします。

ハックス! 3 (アフタヌーンKC)

天空の城ラピュタ [DVD]

大会へ向けて2:雑誌が出ます。

学術系の大会ですとシンポジウムが開催されたり会員の方の発表があったりするわけですが、それと同時に学会が出している雑誌も同時に発行されたりします。もちろん、月刊だったり、隔月刊だったり、そもそも研究発表会と関係なく動いているところもないわけではないですが、コンテンツ文化史学会は今度の2009年大会に合わせて会誌が発行されるように編集作業を進めておりました。

そして、無事に校了となりました!

というわけで、既にこちらのほうで目次を公開しておりますが、今度の大会に合わせて2号が出ます。欲しい方は会員になっていただき、大会当日までに会費を振り込んで当日会場で受け取っていただくか、もしくは会費を当日支払っていただくかになります。既に会員の方は受付にてお渡しいたします。

また会員ではありますが大会には参加できないという方は後日、事務局のほうから郵送いたします。非会員の方は・・・。

そのような2号ですが、今回からインタビュー記事を掲載していくことになりました。「文化史」という名の通り、歴史学としての学会の側面もある以上はオーラル・ヒストリーは非常に重要な分野になってきます。今回は飯田和敏さん、塩谷直義さんにインタビューをさせていただきました。お忙しいところありがとうございました。

飯田さんは教育問題・・・ではなく、Wiiウェアで配信され、何と1位を獲得してしまった怪作『ディシプリン*帝国の誕生』について語っていただきました。ネット上での下記の記事とかをご覧いただければ、飯田さんの人となりが分かりますよね。

http://getnews.jp/archives/25423
http://news.livedoor.com/article/detail/4454245/

『ディシプリン*帝国の誕生』はそういうゲームです。パフュームが出てくるかもしれません(出ません)。インタビューでは作品が生み出されたプロセスや背景について語っていただきました。あと特に貼りませんが、色々な方がゲームをプレイする動画などが公開されております。

塩谷さんは日本初の3DCG映画『ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~』の演出を担当された方です。3DCGだとポリゴンがカクカクしていて、やっぱり記号化された2Dのほうがいいよね、と思った方は一度ご覧になっていただきたい作品です。インタビュー内でも述べられておりますが、2Dのかわいらしさをもった3Dのキャラクターが作品内を動き回っています。そして、作品としては入間市の出雲祝神社を舞台にした作品でもあり、不老川など実際に存在する場所を描いているという点も興味深いです。こちらのほう、どのように作品が作られていったのかを技術的な側面だけではなく、演出を担当されたということもあり、様々な側面からお話いただきました。

お二方とも非常に興味深いお話をお聞かせいただきました。今後もこのようにインタビュー記録を掲載していくつもりです。

大会へ向けて1

さて今月28日(土)に本学会の第一回大会「アマチュア文化とコンテンツの未来」が開催されます。私自身は当日裏方としてどたばたしているでしょうが、アマチュア文化については門外漢なので(買うばかりです)少しは事前に勉強でもしたいと考えております。しかし、コミティアが開催されている日にこうして更新しているという矛盾が・・・。以下、文責は玉井にあります。当日、「違うじゃないか」と思われても、それは発表者ではなく、玉井にあります。

今回の大会の登壇者はまず学術系として吉田正高会長(司会)、樺島榮一郎さん、七邊信重さん、中村仁さんにお話いただきます。

樺島さんには、アマチュア文化全般的な様相や流通構造、流通プラットフォーム・ゲートキーパー、それからアマチュアクリエーターのキャリアパスなど音楽・マンガ・ゲームなどでお話いただけると思います。七邊さんは本学会の会誌創刊号にも論文「同人・インディーズゲーム制作を可能にする「構造」 ― 制作・頒布の現状とその歴史に関する社会学的考察 ― 」が掲載されておりますが、同人ゲーム研究者として日本では随一の方です。七邊さんはアマチュアゲームの現状や今後の展望、作品が生み出されていくプロセスなどについてお話いただけると思います。続けて中村さん。こちらのブログにも書かれておりますように東京大学にてファッションの講義をされている方です。ファッションには疎い私ですが、東京ガールズコレクションなどを筆頭に様々な場を調査され、またクリエーターや企業の方をインタビューされているようなのでアマチュア文化としてのファッションの現状と展望をお話いただけると思います。

普通の学会ならば学術系からのお話でお仕舞いですが、今回はすごい。素晴らしい。学術系の発表の後にパネルディスカッションが開かれます。以下、お話いただく順番とは別に五十音順でご紹介します。

まずは有馬啓太郎さん。『月詠』や『うりポッ』など商業作品の大ヒットでも有名ですが、サークル「日本ワルワル同盟」の主宰として同人活動もされております。特にプロでもありアマチュアの場でも活躍されている有馬さんの実体験から同人誌即売会でのリアルコミュニケーションなどをどのように捉えているのか、を語っていただけると思います。続けてコミックマーケット準備会共同代表である市川孝一さん。コミックマーケットというアマチュア文化の象徴のようにメディアで語られる「場」を構築してきた方から、その意義や目的などを語っていただけると思います。

マイスペース株式会社マーケティング・ソリューション部エグゼクティブ・プロデューサーである後藤匡さん。特に音楽配信などで有名なマイスペースですが、SNSという場を介してアマチュアクリエーターがどのように交流しているのか、従来から続くアマチュア音楽文化との違いや今後の展望などについて語っていただけると思います。そして株式会社ファンワークス代表取締役社長である高山晃さん。特にフラッシュアニメ「やわらか戦車」、「くわがたツマミ」などで有名なファンワークスですが、ネット上でのアマチュアクリエイタ―達との交流を通じ、プロへの新たなキャリアパスやネットアニメ文化への展望などについて語っていただけると思います。そして最後は株式会社虎の穴代表取締役社長である吉田博高さん。特に同人誌販売で有名な「とらのあな」ですが、同人誌を販売・流通する専門店として意義と目的などについて語っていただけると思います。

というわけで一見するとアニメ・ゲーム・ファッション・マンガ・音楽などバラバラな文化を取り上げるという印象を受けますが、今回のテーマはアマチュア文化!そして、そのアマチュア文化の「場」!の2点に集約されると思います。

クリエーター側としてアマチュア文化の「場」で活動すること、そしてその「場」を維持し、運営していくこと。さらにはそこで生まれてきた文化を(商業・同人問わず)流通させていくこと。この3つの側面をそれぞれのジャンルの垣根を越えて今回語り合うことができるというのは、今後のアマチュア文化研究において一石を投ずることになるに違いありません。また「文化史」の学会でもあるので、今日的な意義だけではなく、従来からの変容や今後の展望にまで踏み込んでいくことになるでしょう。

文化的にも産業的にも最早、無視することが不可能となったアマチュア文化というのも総体として今一度見つめなおし、今後の展望を皆さんと一緒に考えることができると思います。会員の方も、非会員の方もぜひともご参加ください。お待ちしております。

『コンテンツ文化史研究』2号発行のお知らせ

11月28日(土)に開催されますコンテンツ文化史学会2009年大会「アマチュア文化とコンテンツの未来」に合わせて会誌『コンテンツ文化史研究』2号が発行されます。

なお現在、会員登録していただきますと『コンテンツ文化史研究』創刊号および2号を受け取ることができます。また、大会当日に入会していただきましても同様に創刊号・2号をお渡しいたします。

■『コンテンツ文化史研究』2号目次

表紙・イラスト:こさささこ

<インタビュー>

・飯田和敏氏インタビュー 『ディシプリン*帝国の誕生』製作秘話

・塩谷直義氏インタビュー 『ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~』をめぐって

<論文>

安藤奈々・玉井建也「明治後期における琉球・沖縄認識―「琉球九州三人スケッチ」を中心として―」

富澤達三「巨大ロボットアニメの社会史―『機動戦士ガンダム』登場前夜まで―」

<参加記>

七邊信重「 IGDA日本同人・インディーゲーム部会第二回研究会「ゲームデザインとメイキング」参加記」

玉井建也「米沢嘉博記念図書館開館記念シンポジウム「マンガ・アニメ・ゲーム・フィギュアの博物館学」に参加して」

<書評>

樺島榮一郎「濱野智史『アーキテクチャの生態系』」

<第一回例会の記録>
<二〇〇九年度部会活動の記録>

その他

コンテンツ文化史学会2009年大会「アマチュア文化とコンテンツの未来」開催&事前申込開始のお知らせ

コンテンツ文化史学会では、来る11月28日(土)に第1回大会「アマチュア文化とコンテンツの未来」を開催いたします。

21世紀に入り、コンテンツ制作に関わる環境はとりわけ利便性の面で劇的な変化を遂げ、同時にインターネットの本格的な普及はCGMへとつながり、その結果、従来と大きく異なったコンテンツの制作スタイルと価値観が確立しました。それは、21世紀の名作コンテンツの多くが、先進的な制作環境やCGMをいち早く活用したアマチュアクリエイタ―達によって生み出されてきたことが証明しているといえるのではないでしょうか。

本大会では、そのような現状に鑑み、アマチュアが創作する音楽、デジタルゲーム、ファッションなどに関して精力的な考察を行ってきた研究者による3本の報告と、さらにアマチュアのコンテンツクリエイタ―が自由に創作および交流を行う「場」を提供している関係者をパネラーとしてお迎えし、討論を実施いたします。

皆様の積極的なご参加を得て、ボーダレス化するコンテンツ創作活動の現状と未来を探っていきたいと思います。(文責:吉田正高)

■参加申込フォーム

http://www.contentshistory.org/event_entry/
当日参加につきましては申込の状況に応じアナウンスさせていただきますので、こまめに学会ウェブサイトをご確認くださいますよう、お願い申し上げます。

また例会終了後に簡単な懇親会を行ないます。こちらもぜひご出席ください。

■コンテンツ文化史学会2009年大会「アマチュア文化とコンテンツの未来」

日時:2009年11月28日(土)12時半開場、13時開始
場所:東京大学工学部新2号館9階93B
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_04_18_j.html
参加費:非会員2000円、非会員で学生は1000円、会員は無料
学生の方は受付で学生証のご提示をお願いします。

プログラム(予定)

13:00-13:15 趣旨説明
吉田正高(東北芸術工科大学)

13:15-13:55
樺島榮一郎(東京大学)「コンテンツ産業の歴史から見るアマチュア文化の成立要件」

(休憩)

14:05-14:45
七邊信重(東京工業大学)「同人ゲームにみる表現の多様化と人材育成」

14:45-15:25
中村仁(東京大学)「ファッションにおける自主創作と流通」

(休憩)

15:35-17:00 パネルディスカッション(以下、登壇者50音順)
有馬啓太郎(マンガ家、同人サークル「日本ワルワル同盟」主宰)
市川孝一(コミックマーケット準備会共同代表)
後藤匡(マイスペース株式会社マーケティング・ソリューション部エグゼクティブ・プロデューサー)
高山晃(株式会社ファンワークス代表取締役社長)
吉田博高(株式会社虎の穴代表取締役社長)

発表要旨(一部)

■会場での入会受付

また当日のコンテンツ文化史学会への入会申込・入会金払込も承ります。会場にて年会費をお支払いいただくと、学会誌「コンテンツ文化史研究」創刊号および2号をその場でお渡しいたします。会費は一般会員6000円、学生会員5000円となっております。

■取材申込、お問い合わせ

原則として撮影禁止となっております。取材等をご希望の場合はコンテンツ文化史学会事務局まで直接お申し込み、またはお問い合わせください。

お問い合わせフォーム
http://www.contentshistory.org/contactus/

第2回例会無事終了いたしました。

当日は天気もよく、晴れ渡った一日でしたが、50名を越える参加者に恵まれまして、盛況に終わりました。

まずはご参加いただきました皆様、発表していただきましたお三方にはこの場をお借りしてお礼申し上げます。

またこちらにもありますように、今後は来月28日(土)に本学会の大会が開かれます。皆様のご参加をお待ちしております。

2009年大会「アマチュア文化とコンテンツの未来」のお知らせ(第1報)

コンテンツ文化史学会はこのたび、下記の要領で2009年大会を開きます。また大会と前後して総会を開く予定です。皆様のご参加をお待ちしております。

なお、参加者の事前登録制を行う予定です。こちらの登録ページは後日告知させていただきます。

コンテンツ文化史学会2009年大会「アマチュア文化とコンテンツの未来」

日時:2009年11月28日(土)12時半開場、13時開始
場所:東京大学工学部新2号館9階93B
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_04_18_j.html
参加費:未定(会員は無料)

プログラム(予定)

趣旨説明:吉田正高(東北芸術工科大学)
基調講演:樺島栄一郎(東京大学)
第一報告:七邊信重(東京工業大学)
第二報告:中村仁(東京大学)

パネルディスカッション
市川孝一(コミックマーケット準備会共同代表)
高山晃(株式会社ファンワークス代表取締役社長)
後藤匡(マイスペース株式会社マーケティング・ソリューション部エグゼクティブ・プロデューサー)

論文を読む:その6?

珍しく数日のスパンで更新します。先日のエントリーに続けてライトノベル関係の研究本を読んでおります。

もちろん例会直前だからに決まっております。まだの方はぜひご登録ください。
http://www.contentshistory.org/2009/09/29/541/

さて、以前のエントリーでもいくつか紹介しましたが(これとかこれとか)、大学の紀要などでぽつぽつと発表されていたライトノベル研究がようやく「研究」と言えるほどのまとまりを持って私たちの目の前に登場してきたのは、やはり一柳廣孝・久米依子『ライトノベル研究序説』(青弓社、2009年)の出版に拠るところが大きいと思います。各論として文化的な視点、歴史的な視点、様々な既存の学問からの切り口、作品論と取り揃えられており、今後のライトノベル研究を行う上では、踏み台にしていかなければならない研究書であることは間違いありません。

そう、踏み台と書きましたが、読んでみた感想としては収録されている論文が短い。これに尽きます。普通の(と書くと変ですが)論文ですと、ここから加速度をもって論を展開しテンションが上がっていきます!というところで、まとめに入っていくのがもどかしい。もっと色々な話を聞いてみたい。

これが第2回例会をライトノベルにしようと思った動機でした。第1回例会開催以前から既に動いており、私どもの委員の知り合いの方などを頼って、発表のお願いをしていくと・・・気が付いたらライトノベル研究会の方3名にお願いをすることになりました。ライトノベル研究会の方が揃ったのは全くもって偶然のことです。というわけで、今度の日曜日の例会に来られる方はぜひとも『ライトノベル研究序説』をお読みになって来られると分かりやすいかと思います。本書には

山中智省「受容と供給の欲望-何を求め、何を生む」
井上乃武「ライトノベルと児童文学の「あいだ」-「主体性」の問題をめぐって」
大島丈志「野村美月『”文学少女”』シリーズ-『銀河鉄道の夜』から飛躍する文学少女」

と今回発表していただくお三方の論文が収録されております。

ライトノベル研究序説

論文を読む:その5?

というわけで、また日数が過ぎ去って、10月も半ばになろうかというときに更新となりました。「世界はコンテンツ文化史ではない」担当の玉井です。そして何よりずっと先だと思っていた本学会の第2回例会「ライトノベルと文学」が今度の日曜日に開催されます。

ご登録がまだの方はぜひどうぞ。

http://www.contentshistory.org/2009/09/29/541/

私個人は裏方としてどこかで何かをしているかと思いますが、当日ぼーっとしているはずもなく一応、聞く姿勢を見せるつもりです。門外漢ですけど。最近、仕事帰りの電車の中でラノベ研究の本を読むようにしています。ラノベは読みますが、研究としてはそれほど詳しくないということもあるので、例会に少し備えようかと思ったわけです。最近、読んだのは新城カズマの『ライトノベル「超」入門』(ソフトバンク新書、2006年)。個人的に『サマー/タイム/トラベラー』が印象的な作家ですね。

それはともかく、いや、本当に「超」入門ですね。スレイヤーズやブギーポップに注がついていますが、面倒なのでそこは読み飛ばしました。でも、ライトノベルという定義が曖昧なものに対して、何とか言語化しようとする姿勢は見事です。印象に残ったのは、今でいうライトノベルに分類される小説群が世に出てきた時に読者たちは既存のジャンルとは違う「前向きな違和感」を感じたということ。また、出版社や作家側としては「ライトノベルを作ろう」という意識でやっているのではなく、「面白いものを作ろう」という意識でやっているということ。書き手・売り手としてターゲットにしている層に買ってもらうために(お小遣いを使ってもらうために)間断なくリリースを重ねていくことによって作り上げられていったのが、現在の様相。というように作り手と受け手の両方のせめぎ合いの上で概念として漠然と出来上がってきたのがライトノベルということでしょうか。

しかし、この手の定義の問題で必ず出てくるのが「この小説はどう?」とか「あれは違う」とか「あれもあるではないか」というお話。議論としても学問としてもそこからの脱却というものが出来れば良いなとは単純に思います。

とこれは論文ではなく新書ですよね・・・論文を読む。新書を読む。

ライトノベル「超」入門 [ソフトバンク新書]

サマー/タイム/トラベラー (1)  ハヤカワ文庫 JA (745)

サマー/タイム/トラベラー2 (ハヤカワ文庫JA)

第2回例会「ライトノベルと文学」開催&事前申込開始のお知らせ

コンテンツ文化史学会はこの度、第2回例会「ライトノベルと文学」を開催いたします。

本例会におきましてはライトノベルを取り上げ、従来の文学研究との枠組みの中で相対化が可能かどうかを出発点として考察してまいります。特に文学・児童文学といった既存の分野からどのようにライトノベルを捉えることができるのか。また、ライトノベルという概念そのものをどのように捉えていくことができるのか。といった点に踏み込んでいきます。

大島報告では近代文学、特に宮沢賢治作品を取り上げ、ライトノベル作品にどのように受容されているのかを考察します。宮沢賢治自身が想定していた読者層とライトノベルの読者層の重なりを踏まえて、ライトノベルの成立の一側面を明らかしていきます。井上報告では岡田淳『選ばなかった冒険―光の石の伝説―』および小野不由美『十二国記』シリーズを取り上げ、ジャンルを超えたコンテンツの受容とそれに関わる諸行為の可能性を考察します。山中報告ではライトノベルというジャンルが文学との相対化によって、既存の枠組みを変容させていく過程を、言説分析を通じて明らかにし、その要因を探ります。

例会へのご参加を希望される方はお手数ですが、以下の例会参加申込フォームよりお申し込みください。申込は先着順とし、定員になり次第締め切らせていただきます。お申し込みいただいた方には当日の研究報告資料をご用意いたします。

■例会参加申込フォーム

http://www.contentshistory.org/event_entry/
当日参加につきましては申込の状況に応じアナウンスさせていただきますので、こまめに学会ウェブサイトをご確認くださいますよう、お願い申し上げます。

また例会終了後に簡単な懇親会を行ないます。こちらもぜひご出席ください。

■コンテンツ文化史学会第2回例会「ライトノベルと文学」

日時:2009年10月18日(日)12時半開場、13時開始
場所:芝浦工業大学豊洲キャンパス研究棟5階大会議室
http://www.shibaura-it.ac.jp/about/campus_toyosu.html
参加費:500円(会員は無料)

■プログラム(予定)

司会:七邊信重
13:00-13:40 大島丈志「ライトノベルにおける日本近代文学の受容」
13:40-14:20 井上乃武「コンテンツ横断的テクスト受容の試み-児童文学からライトノベルへ」
14:20-14:30 休憩
14:30-15:10 山中智省「揺れ動く「ライトノベル」-ジャンル形成の現在」
15:10-15:20 休憩
15:20-16:20 総合討論

■会場での入会受付

また当日のコンテンツ文化史学会への入会申込・入会金払込も承ります。会場にて年会費をお支払いいただくと、学会誌「コンテンツ文化史研究」創刊号をその場でお渡しいたします。会費は一般会員6000円、学生会員5000円となっております。

■取材申込、お問い合わせ

コンテンツ文化史学会事務局まで直接お申し込み、またはお問い合わせください。

お問い合わせフォーム
http://www.contentshistory.org/contactus/