例会に向けて

すっかり月報のようになってしまいましたブログです。皆様。お元気ですか。とりあえず関東地方は梅雨入りをしております。

さて、ついに来週に迫ってまいりました。6月26日(土)にコンテンツ文化史学会2010年第1回例会「趣味文化研究の作法」が開かれます。会員の皆様も、非会員の皆様もぜひともご参加ください。オタクや鉄道マニアを研究することに興味はあるのだが、学術的な場所に参加して良いのかどうか迷っている方もぜひご参加ください。お待ちしております。

http://www.contentshistory.org/2010/05/17/730/

なお、昨年の例会および大会とは場所が違いますのでご注意ください。JR田町駅を出たところですよ!

さて、例会ですが、昨年の2回は私がある程度関わって企画していきましたが、今回は司会をつとめます七邊さんが企画をしたものになります。従いまして、私はどのような会になるかを妄想するしかないわけです。

とはいえ、「趣味文化研究の作法」の趣旨文に書かれておりますように、「「私語り」や「主観的印象論」、あるいはデータなき「誇大理論」に陥らずに、いかに調査・研究していくかを考えること」に尽きるかと思います。これを踏まえると2つの点が重要であると想定されるでしょう。

  1. 趣味文化を享受する自分自身と、それを対象とし研究する自分自身の距離感
  2. 趣味文化を研究するにあたってのデータ(質的・量的)の取り方、および研究の方法

という2点でしょうか。前者はより精神的な話ですが、現在進行形で変容していく趣味文化自体を研究するにおいて、私たち研究者自身もまた同時代に存在することはどうしても必至になります。当然ですね。ただその場合、よくも悪くも雑音のように入り混じってしまうのが、同時代的存在であるがゆえに趣味文化を味わっている研究者自身の感情や主観でしょう。これが入ってしまうと途端に研究論文足りえません。自分自身も観察対象や観察事象に包括されうる存在であることを常に認識しながら、そこからの距離感を絶妙に保ち、研究を行う。この点は社会学や民俗学、文化人類学などで行われる参与観察もまた重要な点になってくるでしょう。

後者はより実態的な話になってきます。印象論的なものを排除していった場合、どのようなデータを取り、それをどうやって研究へと生かしていくのか。趣味集団にどうやってアンケートやインタビューをお願いするのかといった細かい点も重要になるかと思います。特に既に先行して存在するオーラルヒストリーやその他、聞き取り調査研究とどう比較しつつ、コンテンツ学に生かしていくのか。大きな課題でしょう。

という話になるかもしれませんし、違うかもしれません。

論文をよむその8:GUNSLINGER GIRL

ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか。ってもう終わりかけです・・・。学会のほうは学会誌の編集が遅れており会員の皆様にはご迷惑をおかけしておりますが、順調に進めております。今度の例会には間に合いますので、もう少しお待ちください。

さて、せっかくの連休なのでアニソン三昧を聞きながら、何か書きましょうか。といっても、ほとんど漫画を読んだりして過ごしていましたが・・・その中で面白かったのは『GUNSLINGER GIRL』12巻です。新刊が発売されました。過去編がほとんどを占める12巻です。

GUNSLINGER GIRL 12 (電撃コミックス)
相田 裕
アスキー・メディアワークス (2010-04-27)

このガンスリを取り上げた論文としては最近だと足立加勇「サイボーグ漫画のアニメ化に見る漫画作品の受容と消費」(『学習院大学人文科学論集』18号、2009年)が挙げられます。この論文は『サイボーグ009』とガンスリを比較し、60年代と80年代の009では描かれる主題が平和から仲間との絆になっていること、そしてその後のいわゆる「第三次アニメブーム」では再生産され続ける絆の物語を踏まえ、ガンスリをみるとアニメ愛好者たちが希求する絆というものがアニメ化に伴って浮上してくる。といった内容でしょうか。

とりあえず面食らったのは009から一気にガンスリに飛べるのでしょうか?いや、間に銃夢やマップス、そして攻殻機動隊や最終兵器彼女といった作品群があるわけで、比較研究の難しさがどうしても気になってしまいます。まあ、気になるのはオタクの悪いところかもしれませんけど!あとガンスリのゲームでは検討されている点はどうなっていたのでしょうか・・・やったことがないのですが。

しかし、相田裕作品が絆をテーマにしているかどうかというのは重要な点で、ガンスリ10巻に付録であったイタリア紹介冊子では義体の女の子たちが現代のイタリアにいたら、このような格好といったイラストがあり、物語におけるサイボーグという枠組みを取り払っているのが面白いです。あと同人誌で連作として発表されている「バーサス・アンダースロー」シリーズはまさしく直球の青春物語。これは素晴らしい。昨日のコミティア92でも新作を買ってしまいました。私は生徒会長のキャラが好きです。つまりはガンスリではその絆というものをサイボーグという義体や条件付けという設定によって、沈潜化したと捉えることも可能かもしれませんね。

そんな感じです。アニソン三昧ではガンスリの主題歌は流れますか。

GUNSLINGER GIRL Singles

TAF2010シンポ、無事終了いたしました。

3月25日に東京国際アニメフェアにて開催されたコンテンツ文化史学会主催シンポジウム「変容するコンテンツ文化とクリエイター -進化するアニメ、ゲーム、ノベルの可能性-」は無事終了いたしました。当日、足をお運びいただきました方、何よりご登壇いただきました飯田和敏さん、本田透さん、今井哲也さんにこの場を借りて御礼申し上げます。

当日の様子は下記のtogetterにまとめられております。
http://togetter.com/li/11027

時間が足りずに消化不良だった部分もありますので、ぜひどこかで続きを行いたいですね!というわけでご登壇者の作品を並べてみますが、飯田さんのディシプリンはWiiウェア配信なのでamazonにはありません・・・。

小説 げんしけん 拝入蘭人の野望~Return of the OTAKU~ (KCノベルス)

巨人のドシン

ライトノベルの楽しい書き方 (GA文庫)

ハックス!(1) (アフタヌーンKC)

<追記>

日刊サイゾー様に取り上げていただきました。ありがとうございます。

http://www.cyzo.com/2010/03/post_4179.html

論文を読むその7:消費される「歴史」

ご無沙汰すぎて申し訳ありません。と言いますか、新年1回目の運営委員会で「もっとブログを更新しましょう」という話も出ましたよね。それに対して私や会長は「がんばる」とか前向きな発言をしていましたよね。しかも「週に1回は更新しましょう」とか言ったのはどの口ですか。

というわけで1週間どころか1ヶ月に1回の更新になりそうですが、ブログはともかく学会のほうは滞りなく動いております。会誌3号および第3回例会に向けて、既に諸々の作業に入っておりますので、皆様ご期待ください。

久々のブログがこれだけだと物悲しいので、最近読んだ論文の話でも。

  • 高岡文章「近代と/へのノスタルジー 近代化遺産と昭和ブーム」(『福岡女学院大学紀要 人文学部編』17号、2007年)[http://ci.nii.ac.jp/naid/110006606303]

PDFで公開されているので読めます。近代化という中で成田龍一さんなどが研究されている「故郷」の話などと絡めつつ、「近代化遺産」や「昭和」といったものに「ノスタルジー」が付与されるというのが大まかな内容なわけですが、一番興味深かったのが、最後のほうに書かれている次の一文です。

「現代社会において、もはや「歴史」は商品である」

これは多分、誰もが感じつつも言語化はされていなかったことかと思います。至言ですね。さらに個人的な感想を述べると、ノスタルジーが付与される「歴史」と付与されないで消費される「歴史」の2つに分けられるような気がします。前者が「三丁目の夕日」ならば、後者は「戦国BASARA」でしょうか。

しかし、このノスタルジーというか遡及可能な意識というものを別角度から追った論文が高岡弘幸「幽霊の変容・都市の変貌–民俗学的近・現代研究に向けての試論」(『国立歴史民俗博物館研究報告』132号、2006年)ですね。「幽霊」という切り口で、認識の変容を追うという・・・。高知でのフィールドワークによる成果で、非常に興味深い論文です。

とここまで書いてきて、日本史側は消費される「歴史」というものをどう捉えているのかを考えたかったのですが・・・どなたか論文を書かれていますか?私が知らないだけということもありえますが・・・。コンテンツ文化史でやれと・・・?

自由投稿募集のお知らせ

本学会も今年で設立2年目となります。会員数もおかげさまで順調に増え、会誌『コンテンツ文化史研究』への投稿を希望する声も多く聞かれるようになりました。従来より自由投稿は期日を設けずに募集してまいりましたが、このたび投稿期日の目安を下記のように定めます。

  • 3号(4月末発行予定):投稿期日1月末
  • 4号(10月末発行予定):投稿期日5月末

なお、投稿規程・執筆要綱を順守の上、ご投稿いただきますようお願いいたします。

IGDA日本 第5回研究会「ノベルゲーム制作実践テクニック -素材制作の技術と制作管理・宣伝のノウハウー」のお知らせ

IGDA日本さんから下記の情報をいただきましたので掲載いたします。ぜひともご参加ください。

—-

IGDA日本 第5回研究会「ノベルゲーム制作実践テクニック-素材制作の技術と制作管理・宣伝のノウハウー」
http://www.igda.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=226

IGDA日本(国際ゲーム開発者協会日本) 同人・インディーゲーム部会(SIG-Indie)は第5回研究会を2010年1月23日(土)に開催いたします。

同人・フリーゲームの中でも、ノベルゲームは人気ジャンルの一つです。しかしながら、人材の集め方、素材の作り方、広報・宣伝などに、多くの制作者は困難を感じており、試行錯誤をくり返しながら制作を試みているのが現状です。

第3回研究会では、ノベルゲームのシナリオと演出、ゲームメイキングに関する議論が行われました。今回の研究会では、シナリオ・スクリプトに加え、CGの実践的な制作技術と、制作管理・宣伝のノウハウについて、独創的な作品を制作されてきた方々にご講演いただきます。

数多くの方の参加をお待ちしております。

■日時 :2010年1月23日(土) 13:00-18:00 (受付時間12:30-)
■場所 UDXマルチスペース(東京フードシアター5+1) http://www.foodtheater.jp/
アクセス http://www.foodtheater.jp/access.html
■主催 :国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本) http://www.igda.jp/
■共催 :UDXオープンカレッジ http://www.icic.jp/workshop/
■後援:NTT都市開発株式会社/鹿島建設株式会社/ダイビル株式会社/株式会社クロスフィールドマネジメント/株式会社新産業文化創出研究所
■定員 :120名 (ゲームに関心のある方であれば、どなたでも参加できます)
■参加費:
研究会のみ 1,500円(入場券チケットを購入して下さい)
研究会および懇親会の両方に参加 5,000円(全席自由チケットを購入して下さい)
懇親会のみ 3,500円

※チケットの販売は、「e+」というチケット販売代理システムを利用して行います(当日のチケット販売はありません)。詳しくは、下記のページをご覧下さい。
http://www.igda.jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=226

◎プログラム

第1部  (司会:小山友介[芝浦工業大学])

13:00 – 13:30
板倉陽一郎 (弁護士・ひかり総合法律事務所)
「同人ゲーム開発者が直面する法律問題」
http://www.hikari-law.com/J/attorney/itakura.php

13:30 – 14:00
早狩武志 (LIFE・SYSTEM)
「萌と鬱 ~PCゲームライターの一例~」
http://www.tt.rim.or.jp/~hayakari/

<休憩>

第2部  (司会:調整中)

14:10 – 14:40
葉山こよーて、ぬい (れいんどっぐ)
「ノベルゲームを長期間作るためのコツ(モチベーションの保ち方など)」
http://rain-dog.net/

14:40 – 15:10
ポチくん (トラウムブルグ7番地)
「フリーゲームの特異性と可能性」
http://www.mephe.com/traum_burg/

15:10 – 15:40
神江豊、GARUDO (インディーズゲームディベロッパーO-GAMES)
「世界征服を狙うO-GAMESの野望」
http://o-games.info/

<休憩>

15:50 – 16:20
飯島多紀哉 (七転び八転がり)
「効率よく短期間でテキストアドベンチャーを作成する方法」
http://takiya.jp/78/

16:20 – 16:50
Club (Team Eye Mask)
「短編ノベル制作のテクニック~ライティングからコミュニケーションまで~」
http://www.team-eye-mask.com/

Mikage (IES-Net.com)
「Artemis Engineで作るiPhone用ゲーム」
http://www.ies-net.com/

<休憩>

第3部  (司会:七邊信重[東京工業大学])

17:00 – 18:00
ディスカッション
早狩武志 (LIFE・SYSTEM)
葉山こよーて (れいんどっぐ)
ぬい  (れいんどっぐ)
ポチくん (トラウムブルグ7番地)
神江豊 (インディーズゲームディベロッパーO-GAMES)
飯島多紀哉 (七転び八転がり)
Club (Team Eye Mask)
Mikage (IES-Net.com)

18:30 – 20:30
懇親会 - UDXマルチスペース(東京フードシアター5+1) セミナーと同じ会場です

あけましておめでとうございます&コミケットお疲れさまでした。

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皆様。

あけましておめでとうございます。本年も本会の活動をよろしくお願いいたします。

さて、昨年の12月31日には2回目となるコミケットへの参加をしてきました。今回は前回の反省を踏まえ、創刊号・2号ともに30冊前後を持っていき、結果として創刊号が28冊、2号が23冊も売れました。また、第一回例会発表でお世話になりました土居浩さんからは埼玉が誇る(と私の友人はいつも力説する)十万石饅頭を差し入れでいただきました。糖分補給どころか玉井の昼ごはんになりました。賛助会員のサイフォンさんからは自社のキャラクターが印刷された少し早い年賀状をいただきました。

その他、足をお運びいただきました方々には御礼申し上げます。「え、学会ですか?」と結構聞かれましたが、「学会です。がんばっています」と元気に返答させていただきました。サークル参加ですが、リアルに学会です。歴史学系の歴史学研究会や日本史研究会などの書籍展示を見ていると、あれはコミケットの縮小版のようなものではないですか。なら普段からそのような即売会活動をしている我々がコミケットに出てはいけない理由はありません。あとコンテンツを考えると表明しているのに、出ないというのも考え物でしょう。

今回は売り子は私と会計担当、そして吉田会長の3名でしたが、カイチョーが自分自身のことを「ハラグーロみたいだな」と自虐的につぶやいていたのが印象的です。さらにいうとお隣の駒澤大学の山口浩先生のところが完売していたのは凄かったです。

そんな感じですが、本学会も2年目を迎えます。これはひとえに会員やそのほか例会・大会にご参加いただいた皆様のお力によるものです。今後も何年も続いていける学会になるよう委員の皆でがんばっていく所存ですので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。

コミックマーケット77参加のお知らせ

下記の日程でコミックマーケット77に参加いたします。お近くを通りかかった際にはお立ち寄りください。

【日  時】 2009年12月31日(木)
【場  所】 東京有明ビッグサイト
【サークル名】 コンテンツ文化史学会
【配  置】 西る-44b
【頒 布 物】 『コンテンツ文化史研究』創刊号・2号
【価  格】 各2000円
【搬 入 数】 各20~30部ほど

会費納入のお願い

先日行われました総会から、本学会の年度としましては2010年度となります。つきましては会員の皆様にはお手数ですが、会費納入をお願いいたします。下記の銀行口座に、会員登録されたお名前での会費の振込みをお願いいたします。

口座名:コンテンツ文化史学会
みずほ銀行本郷支店(店番号075)
口座番号:2742731

なお会誌ですが、2009年度発行は1号と2号になります。2009年度の会費をお振込みでない方には申し訳ありませんが、1号・2号をお送りしておりません。早急にお振込みいただくようお願い申し上げます。

例会・大会の開催、会誌の刊行など、学会の運営は、皆様からの会費に頼っております。何卒、よろしくお願い申し上げます。