現在、わが国においては、アニメ・マンガ・ゲーム・映画・テレビ・音楽・ネットといった様々なコンテンツが、諸外国から大きな注目を浴びるほどの文化的成長を遂げています。そして、それと連動するように、文学・経済学・政治学・工学などの各学問分野でも、研究対象としてコンテンツを取り上げる機会が増えております。しかし、人々は一つのコンテンツジャンルを対象として選択し、その範疇でのみ消費活動を行っているわけではなく、通常はアニメとマンガ、音楽とゲームなど、複数分野のコンテンツを一括して享受しています。したがって、本学会では、その現状を踏まえ、様々なコンテンツタイプを統合的に考察することを第一の目的とします。
一方で、近年における作品数の爆発的な増加は、「コンテンツの飽和」ともいうべき状況を生みだしています。同時に、コンテンツに関する過剰な情報の氾濫によって、過去の様々なコンテンツが忘却の彼方に押し流されようとしているのが現状ではないでしょうか。そこで、本学会の第二の目的としては、過去から現在に至る様々なコンテンツ作品について、政治・文化・経済・風俗など作品成立当時の時代的背景にも言及し、さらには歴史的な連続性および非連続性にも着目しながら、「文化史」という枠組を用いて研究してまいります。
コンテンツ文化史学会 会長 吉田正高