大会へ向けて7:ファンダムということ

さて7回目となりました。といいますか大会も今週末に迫ってきました。あと数日です。参加登録はお早めに!

といつもの誘導作業は置いておきまして、今回の大会テーマで重要な点の一つとしては「場」の問題が挙げられるかと思います。同人誌や同人ゲームで言いますとコミケットなどの即売会はリアル・コミュニケーションが行える場ですし、とらのあななどの専門店もまた流通という場になります。音楽においてもマイスペースなどのSNS空間でのつながり、アニメにおいてもネット上での活動が盛んになっています。イラストという点でもpixivといった場があります。このようなファンダムが形成されているジャンルにおける活動の場、特にアマチュア文化のような側面での研究はまだまだこれからと言えることが出来るでしょう。特にこの点に着目した論文としては次のものが挙げられます。

  • 玉川博章「ファンダムの場をつくるということ――コミックマーケットのスタッフ活動」(玉川博章、名藤多香子、小林 義寛、岡井崇之、東園子、辻泉『それぞれのファン研究―I am a fan』風塵社、2007年、所収)

こちらの論文ではコミケットの研究は従来どうしても参加するファンに向けられたものが多かったわけですが、「これまでのコミックマーケットに対する視点の中で、欠けているひとつの視点がある。それはコミックマーケットという場、イベント自体の特異性である」(本書16ページ)とあるようにコミックマーケットを「場」と捉え、ファン・スタッフ・サークルという重層的な三者から解き明かしています。特に日常空間から離れた「第3の場所」というオルデンブルグの定義(具体例としてはカフェ、パブ、街の広場など)を援用しつつ、ファンダムの場として参加者への平等に場を提供するコミケットの実態を把握しています。しかし、玉川さんも書かれているように、ファンダムの場もまた近年は大きく変化しているのも事実です。今回の大会で、様々なジャンルの方々が登壇されることにより、総体としてのファンダムの場を把握することができるかもしれません。

それぞれのファン研究―I am a fan (ポップカルチュア選書「レッセーの荒野」)

大会へ向けて6:うぐぅ

中村仁さんの発表要旨が追加されました。ファッションの自主創作は「目に見える形としては低調であるといわざるを得ない」とされています。私自身がファッションには疎いということもあるでしょうが、アマチュアの創作の場があるというのを聞いたことがありません。コミケに行くと創作した服やアクセサリーを売っている人がいますが、そのぐらいでしょうか?あとはヤフオクなどでしょうか?

これは本当に知らないので、話が続かない雰囲気になってきました。「大会へ向けて」も6回目だというのに。何といっても私はUGGを最初「うぐぅ」と読んで、鯛焼きか!と思った人間です(ちなみにアグと読むそうです。あとはググってください)。

しかし、中村仁さんのブログを見ていると、当たり前ですが、ファッション文化をめぐってはビジネスや政策面など様々な論点が見られます。その中にアマチュア文化という可能性はあるのかどうか。しかし、キャリアパスなどはどうなっているのでしょうか。アマチュア→プロというところは・・・?ぜひ知りたいところです。

→参加登録はこちら

鯛焼きは関係ない。本文と関係ない。

鯛焼きメーカー MCE-3206 27506

大会へ向けて5:東方キャラでは誰が好きですか。

そのような話を大会ではいたしません。

七邊信重さんの発表要旨をみると「50万本以上の売り上げを記録しメディア展開される作品が登場する一方、制作者や少数ユーザーのニーズを満たす、多様で独創的なオリジナル作品が、商業ゲーム業界の「外」で次々と制作されている」ということが書かれております。ある意味で、同人ゲームと言われるとやはり「月姫」やひぐらし、うみねこ、東方といった作品群が頭に思い浮かびますし、コミケに行くと大勢の人が並んでいるのも目にします。

ちなみに私は東方をやったことがなく、最初pixivを巡回しはじめたとき、ランキング上位は毎日毎日、東方とVOCALOID(それとマサオさん)に埋め尽くされており、それを見ても誰が何やらといった状況でした。しかし、あれですね。高校生のときにオールナイトニッポンのADやPの名前まで覚えていってしまったように、毎日毎日色んな人のイラストを眺めていると何となくキャラ付けやら性格やらがゲームをしたことがないのに理解できるようになっていったという・・・。

ちなみにマンガ家のカトウハルアキが描いた、東方×the Pillowsシリーズがお気に入りです。

虎子のコスプレに見えなくもない。しかし、いまだにゲームはプレイしていません。

話がずれました。しかし世の中、このように大きくメディア展開および2次創作されているゲームばかりではなく、同人ゲームやフリーゲームには様々なものがあります。七邊さんがIGDA日本SIG-Indieで「企画のうち完成するのは1割以下」と述べているように、同人ゲームの制作には個人個人のモチベーションに大きく左右されているのも事実です。サークルなどになると、どのようなマネージメントのもとで作品が作られているのか、経済的、人的資源をどう確保しているのか、その他、色々な点が聞けると思います。

そんなわけで東方やって、うみねこやっている人もぜひ参加しましょう。
参加登録。

東方儚月抄 ‾Silent Sinner in Blue. 上巻 (IDコミックス REXコミックス)

うみねこのなく頃に Episode1:Legend of the golden witch 1 (ガンガンコミックス)

ヒャッコ 5 (Flex Comix)

大会へ向けて4:発表要旨が出ました。

昨日のtwitterでのラピュタTLはすごかった!終わったあとのbuzztterも・・・皆さん、どれだけムスカが好きなんだと・・・。

それはともかく発表要旨が発表者から届きましたので公開となりました。まずは樺島さんですが「メディアの違いに関わらずコンテンツ産業には共通の構造」があり、「個人制作コンテンツが興隆する条件」を明らかにするということです。樺島さんが書かれた論文(「ポピュラー音楽におけるインディーズの成立」『コンテンツ産業論』東京大学出版会、2009年)を見ますと、インディーズの歴史的過程を踏まえながら、例えばモンゴル800が200万枚を越えるヒットを飛ばしたその背景を探っています。

そこには新規参入の機会があること、アーティスト・消費者がインディーズの様々な情報をスムーズに得ることが出来るようになったこと、流通プラットフォームがあること(タワレコなどに行くと普通にインディーズのCDが買えますよね!)、アマチュア個人で賄える音楽活動の費用(機材も安くなりました!)という4つの点にあるとしております。

しかし、樺島さんも述べているようにネットでの状況の変化というものがモンゴル800の大ヒットのときからですら今は違っています。特にiTunesなどのメジャー・インディーズの垣根がなくフラットに販売している媒体があること、さらにはマイスペースなどのインディーズ・アーティストが活動発表となるプラットフォームが出来上がったことの2点が大きな変容といえるでしょう。

では、これでインディーズとメジャーの垣根は完全になくなったと言えるのかどうか。たとえば斉藤和義のようにライブハウスにデモテープを送って、アマチュア活動を開始し、その後、プロミュージシャンになったようなキャリアパスを経験しているものと、マイスペースなどで活動しインディーズでCDを出し続けるものとは同じと捉えることが出来るまでになったのか。たむらぱんのようにマイスペースで話題になり、そのままデビューしたものとは違うのか。特に最近、スターダストレビューや矢沢永吉のように大御所・ベテランでありながらもインディーズで活動するミュージシャンも出てきました。様々な環境が変化している中、学問としてどう捉えることができるのかは疑問の一つです。

しかし、今回は音楽というだけではなく、様々なジャンルを考察するということです。先日、発表された論文(「個人制作コンテンツの興隆とコンテンツ産業の進化理論」『情報学研究 東京大学大学院情報学環紀要』77号、2009年)を皆さん、事前に読みましょう。PDFがこちらで公開されています。そして読んで、参加登録しましょう。

コンテンツ産業論―混淆と伝播の日本型モデル

2009年大会「アマチュア文化とコンテンツの未来」発表要旨(11/24追記)

11月28日(土)に開かれます2009年大会「アマチュア文化とコンテンツの未来」にご登壇される方々から、発表要旨が届きました。

ご興味がございましたら、ぜひともご参加ください。

開催概要
参加登録

樺島榮一郎(東京大学)「コンテンツ産業の歴史から見るアマチュア文化の成立要件」

本講演は、変化が激しい今後のコンテンツを考える上で一定の指針となる概念的フレームワークを提供することを目的とするものである。経済学および歴史の視点から見ると、メディアの違いに関わらずコンテンツ産業には共通の構造があり、技術進歩や業務ごとの効率追求などが原動力となって、時間の経過とともに共通した方向に進化することが明らかとなる。個人で制作するコンテンツの成長は、この進化の理論から説明できる。さらに、個人制作コンテンツが興隆する条件を明らかにし、個人制作時代のコンテンツ・ビジネスの類型を提示する。

七邊信重(東京工業大学)「同人ゲームにみる表現の多様化と人材育成」

同人ゲームとは、主にアマチュアによりパソコン用に制作され、コミックマーケットのような同人誌即売会、インターネット、委託販売ショップなどで頒布・販売されているゲームのことである。近年では「月姫」「ひぐらしのなく頃に」「東方Project」のように、50万本以上の売り上げを記録しメディア展開される作品が登場する一方、制作者や少数ユーザーのニーズを満たす、多様で独創的なオリジナル作品が、商業ゲーム業界の「外」で次々と制作されている。本研究では、同人ゲーム制作の特徴、これを可能にする社会経済的条件、およびここから多様な表現・人材が生み出されている要因について、インタビュー調査と質的データ分析に基づき社会学的な解明を試みる。

中村仁(東京大学)「ファッションにおける自主創作と流通」

本講演は、ファッションデザインの創作活動について、絵画・音楽等の芸術と、コミック・ゲーム等のコンテンツの2種類との比較の視点から考察する。ファッションデザインの分野では多くの自主創作活動が行われているが、目に見える形としては低調であるといわざるを得ない。これは、発表のための「場」の供給が少なく、参入障壁も高いことがその理由と考えられる。一方で、コミック・ゲーム等は自主創作物の流通基盤がファッションと比較して非常に整備されており、「場」の供給はもはや把握できない規模となっていると考えられる。なぜファッションの世界ではこれまでこのようなブレークスルーが発生しなかったのかという点と、このような活動に行政が担うことができる可能性を中心に扱う。

また有馬啓太郎さんのサイトにて下記のように述べられております。

私はクリエイターの立場としてまず第一にプロとアマチュアとは何が違うというのか?という点についてくっちゃべってこようと思っています。  そういった認識に統一性がないと話が成り立たなくなるのでその辺りをつっこんでみようかなと。
http://www.yeah.ne.jp/~waruwaru/2009/11/2009.html

→11月24日、中村仁さんの発表要旨を追加いたしました。

大会へ向けて3:『ハックス』3巻が出ました。

「でも、これ投稿されているの観てみると・・・けっこう動きがカクカクしてるのも多いんですよね。でも、そういうのでも意外と観てて楽しいんですよ。誰かが一所懸命描いたものって。で、じゃあ、自分も本格的じゃなくても、そういうところから始めてみたらどうかなと思ったんですけど」
(今井哲也『ハックス』3巻、講談社、2009年、19ページ)

皆さん、世間はこれからラピュタを見て、ムスカ大佐をにやにやしながら眺めるのでしょう。こんにちは。いや、こんばんは。

さてアマチュア文化というテーマで大会を開きますが、アマチュア文化といっても非常に広い。思いつくものを挙げるだけでも、コミケットなどの即売会・とらのあななどの専門店で売っている同人誌や同人ゲーム、ニコニコ動画やYOUTUBEにあげられるMADや自主制作アニメだってアマチュア文化です。

それが商業ベースに乗るか乗らないかはまた次の話になります。もちろん、旧来からアマチュア文化が存在している文学や、メジャーデビューへのキャリアパスが存在する音楽(樺島榮一郎さんの論文に書いてありました!)、映画もまた多くのアマチュア文化が存在します。

では、ニコ動なんかと白樺派などの活動をどう捉えるのか?最近のウェブ空間の事象と昔の同人活動は直線的に捉えることができるのか?ジャンルが違うとどうなるのか?例えば、昔の大学や高校の漫画研究会やアニメ研究会と『ハックス』などで見られるようにニコ動(作中では二○動)というすぐに発表できる場のある現在では違うのか、本質は変わらないのか?そういった点を今度の大会「アマチュア文化とコンテンツの未来」で考えることができれば良いなと思います。もちろん、それ以外にも色々な論点が出てくるでしょう。

ですので、まず起床したらニコ動を観て、pixivのランキングを眺め、マサオさんの絵に10点をつけるといった生活を送っている方にも、ぜひ来ていただきたいです。

そのようなわけでバルス待機中の皆さん、よろしくお願いします。

ハックス! 3 (アフタヌーンKC)

天空の城ラピュタ [DVD]

大会へ向けて2:雑誌が出ます。

学術系の大会ですとシンポジウムが開催されたり会員の方の発表があったりするわけですが、それと同時に学会が出している雑誌も同時に発行されたりします。もちろん、月刊だったり、隔月刊だったり、そもそも研究発表会と関係なく動いているところもないわけではないですが、コンテンツ文化史学会は今度の2009年大会に合わせて会誌が発行されるように編集作業を進めておりました。

そして、無事に校了となりました!

というわけで、既にこちらのほうで目次を公開しておりますが、今度の大会に合わせて2号が出ます。欲しい方は会員になっていただき、大会当日までに会費を振り込んで当日会場で受け取っていただくか、もしくは会費を当日支払っていただくかになります。既に会員の方は受付にてお渡しいたします。

また会員ではありますが大会には参加できないという方は後日、事務局のほうから郵送いたします。非会員の方は・・・。

そのような2号ですが、今回からインタビュー記事を掲載していくことになりました。「文化史」という名の通り、歴史学としての学会の側面もある以上はオーラル・ヒストリーは非常に重要な分野になってきます。今回は飯田和敏さん、塩谷直義さんにインタビューをさせていただきました。お忙しいところありがとうございました。

飯田さんは教育問題・・・ではなく、Wiiウェアで配信され、何と1位を獲得してしまった怪作『ディシプリン*帝国の誕生』について語っていただきました。ネット上での下記の記事とかをご覧いただければ、飯田さんの人となりが分かりますよね。

http://getnews.jp/archives/25423
http://news.livedoor.com/article/detail/4454245/

『ディシプリン*帝国の誕生』はそういうゲームです。パフュームが出てくるかもしれません(出ません)。インタビューでは作品が生み出されたプロセスや背景について語っていただきました。あと特に貼りませんが、色々な方がゲームをプレイする動画などが公開されております。

塩谷さんは日本初の3DCG映画『ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~』の演出を担当された方です。3DCGだとポリゴンがカクカクしていて、やっぱり記号化された2Dのほうがいいよね、と思った方は一度ご覧になっていただきたい作品です。インタビュー内でも述べられておりますが、2Dのかわいらしさをもった3Dのキャラクターが作品内を動き回っています。そして、作品としては入間市の出雲祝神社を舞台にした作品でもあり、不老川など実際に存在する場所を描いているという点も興味深いです。こちらのほう、どのように作品が作られていったのかを技術的な側面だけではなく、演出を担当されたということもあり、様々な側面からお話いただきました。

お二方とも非常に興味深いお話をお聞かせいただきました。今後もこのようにインタビュー記録を掲載していくつもりです。

大会へ向けて1

さて今月28日(土)に本学会の第一回大会「アマチュア文化とコンテンツの未来」が開催されます。私自身は当日裏方としてどたばたしているでしょうが、アマチュア文化については門外漢なので(買うばかりです)少しは事前に勉強でもしたいと考えております。しかし、コミティアが開催されている日にこうして更新しているという矛盾が・・・。以下、文責は玉井にあります。当日、「違うじゃないか」と思われても、それは発表者ではなく、玉井にあります。

今回の大会の登壇者はまず学術系として吉田正高会長(司会)、樺島榮一郎さん、七邊信重さん、中村仁さんにお話いただきます。

樺島さんには、アマチュア文化全般的な様相や流通構造、流通プラットフォーム・ゲートキーパー、それからアマチュアクリエーターのキャリアパスなど音楽・マンガ・ゲームなどでお話いただけると思います。七邊さんは本学会の会誌創刊号にも論文「同人・インディーズゲーム制作を可能にする「構造」 ― 制作・頒布の現状とその歴史に関する社会学的考察 ― 」が掲載されておりますが、同人ゲーム研究者として日本では随一の方です。七邊さんはアマチュアゲームの現状や今後の展望、作品が生み出されていくプロセスなどについてお話いただけると思います。続けて中村さん。こちらのブログにも書かれておりますように東京大学にてファッションの講義をされている方です。ファッションには疎い私ですが、東京ガールズコレクションなどを筆頭に様々な場を調査され、またクリエーターや企業の方をインタビューされているようなのでアマチュア文化としてのファッションの現状と展望をお話いただけると思います。

普通の学会ならば学術系からのお話でお仕舞いですが、今回はすごい。素晴らしい。学術系の発表の後にパネルディスカッションが開かれます。以下、お話いただく順番とは別に五十音順でご紹介します。

まずは有馬啓太郎さん。『月詠』や『うりポッ』など商業作品の大ヒットでも有名ですが、サークル「日本ワルワル同盟」の主宰として同人活動もされております。特にプロでもありアマチュアの場でも活躍されている有馬さんの実体験から同人誌即売会でのリアルコミュニケーションなどをどのように捉えているのか、を語っていただけると思います。続けてコミックマーケット準備会共同代表である市川孝一さん。コミックマーケットというアマチュア文化の象徴のようにメディアで語られる「場」を構築してきた方から、その意義や目的などを語っていただけると思います。

マイスペース株式会社マーケティング・ソリューション部エグゼクティブ・プロデューサーである後藤匡さん。特に音楽配信などで有名なマイスペースですが、SNSという場を介してアマチュアクリエーターがどのように交流しているのか、従来から続くアマチュア音楽文化との違いや今後の展望などについて語っていただけると思います。そして株式会社ファンワークス代表取締役社長である高山晃さん。特にフラッシュアニメ「やわらか戦車」、「くわがたツマミ」などで有名なファンワークスですが、ネット上でのアマチュアクリエイタ―達との交流を通じ、プロへの新たなキャリアパスやネットアニメ文化への展望などについて語っていただけると思います。そして最後は株式会社虎の穴代表取締役社長である吉田博高さん。特に同人誌販売で有名な「とらのあな」ですが、同人誌を販売・流通する専門店として意義と目的などについて語っていただけると思います。

というわけで一見するとアニメ・ゲーム・ファッション・マンガ・音楽などバラバラな文化を取り上げるという印象を受けますが、今回のテーマはアマチュア文化!そして、そのアマチュア文化の「場」!の2点に集約されると思います。

クリエーター側としてアマチュア文化の「場」で活動すること、そしてその「場」を維持し、運営していくこと。さらにはそこで生まれてきた文化を(商業・同人問わず)流通させていくこと。この3つの側面をそれぞれのジャンルの垣根を越えて今回語り合うことができるというのは、今後のアマチュア文化研究において一石を投ずることになるに違いありません。また「文化史」の学会でもあるので、今日的な意義だけではなく、従来からの変容や今後の展望にまで踏み込んでいくことになるでしょう。

文化的にも産業的にも最早、無視することが不可能となったアマチュア文化というのも総体として今一度見つめなおし、今後の展望を皆さんと一緒に考えることができると思います。会員の方も、非会員の方もぜひともご参加ください。お待ちしております。

『コンテンツ文化史研究』2号発行のお知らせ

11月28日(土)に開催されますコンテンツ文化史学会2009年大会「アマチュア文化とコンテンツの未来」に合わせて会誌『コンテンツ文化史研究』2号が発行されます。

なお現在、会員登録していただきますと『コンテンツ文化史研究』創刊号および2号を受け取ることができます。また、大会当日に入会していただきましても同様に創刊号・2号をお渡しいたします。

■『コンテンツ文化史研究』2号目次

表紙・イラスト:こさささこ

<インタビュー>

・飯田和敏氏インタビュー 『ディシプリン*帝国の誕生』製作秘話

・塩谷直義氏インタビュー 『ホッタラケの島~遥と魔法の鏡~』をめぐって

<論文>

安藤奈々・玉井建也「明治後期における琉球・沖縄認識―「琉球九州三人スケッチ」を中心として―」

富澤達三「巨大ロボットアニメの社会史―『機動戦士ガンダム』登場前夜まで―」

<参加記>

七邊信重「 IGDA日本同人・インディーゲーム部会第二回研究会「ゲームデザインとメイキング」参加記」

玉井建也「米沢嘉博記念図書館開館記念シンポジウム「マンガ・アニメ・ゲーム・フィギュアの博物館学」に参加して」

<書評>

樺島榮一郎「濱野智史『アーキテクチャの生態系』」

<第一回例会の記録>
<二〇〇九年度部会活動の記録>

その他

コンテンツ文化史学会2009年大会「アマチュア文化とコンテンツの未来」開催&事前申込開始のお知らせ

コンテンツ文化史学会では、来る11月28日(土)に第1回大会「アマチュア文化とコンテンツの未来」を開催いたします。

21世紀に入り、コンテンツ制作に関わる環境はとりわけ利便性の面で劇的な変化を遂げ、同時にインターネットの本格的な普及はCGMへとつながり、その結果、従来と大きく異なったコンテンツの制作スタイルと価値観が確立しました。それは、21世紀の名作コンテンツの多くが、先進的な制作環境やCGMをいち早く活用したアマチュアクリエイタ―達によって生み出されてきたことが証明しているといえるのではないでしょうか。

本大会では、そのような現状に鑑み、アマチュアが創作する音楽、デジタルゲーム、ファッションなどに関して精力的な考察を行ってきた研究者による3本の報告と、さらにアマチュアのコンテンツクリエイタ―が自由に創作および交流を行う「場」を提供している関係者をパネラーとしてお迎えし、討論を実施いたします。

皆様の積極的なご参加を得て、ボーダレス化するコンテンツ創作活動の現状と未来を探っていきたいと思います。(文責:吉田正高)

■参加申込フォーム

http://www.contentshistory.org/event_entry/
当日参加につきましては申込の状況に応じアナウンスさせていただきますので、こまめに学会ウェブサイトをご確認くださいますよう、お願い申し上げます。

また例会終了後に簡単な懇親会を行ないます。こちらもぜひご出席ください。

■コンテンツ文化史学会2009年大会「アマチュア文化とコンテンツの未来」

日時:2009年11月28日(土)12時半開場、13時開始
場所:東京大学工学部新2号館9階93B
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_04_18_j.html
参加費:非会員2000円、非会員で学生は1000円、会員は無料
学生の方は受付で学生証のご提示をお願いします。

プログラム(予定)

13:00-13:15 趣旨説明
吉田正高(東北芸術工科大学)

13:15-13:55
樺島榮一郎(東京大学)「コンテンツ産業の歴史から見るアマチュア文化の成立要件」

(休憩)

14:05-14:45
七邊信重(東京工業大学)「同人ゲームにみる表現の多様化と人材育成」

14:45-15:25
中村仁(東京大学)「ファッションにおける自主創作と流通」

(休憩)

15:35-17:00 パネルディスカッション(以下、登壇者50音順)
有馬啓太郎(マンガ家、同人サークル「日本ワルワル同盟」主宰)
市川孝一(コミックマーケット準備会共同代表)
後藤匡(マイスペース株式会社マーケティング・ソリューション部エグゼクティブ・プロデューサー)
高山晃(株式会社ファンワークス代表取締役社長)
吉田博高(株式会社虎の穴代表取締役社長)

発表要旨(一部)

■会場での入会受付

また当日のコンテンツ文化史学会への入会申込・入会金払込も承ります。会場にて年会費をお支払いいただくと、学会誌「コンテンツ文化史研究」創刊号および2号をその場でお渡しいたします。会費は一般会員6000円、学生会員5000円となっております。

■取材申込、お問い合わせ

原則として撮影禁止となっております。取材等をご希望の場合はコンテンツ文化史学会事務局まで直接お申し込み、またはお問い合わせください。

お問い合わせフォーム
http://www.contentshistory.org/contactus/